マナスル基金

REPORTついにネパール奥地で植栽開始!其の3

2018年6月14日

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こんにちは。

今日は「ついにネパール奥地で植栽開始!」と題してお届けしているレポートの其の3、最終回です。

最終回では、植栽について、お伝えします。
事業初の植栽として、今年は3000本の苗木を2ヘクタールほどの範囲に植栽を予定しています。

育苗所育苗所住友林業

植栽数

今年はトータルで3000株の苗木を植栽予定です。
種類はマツ、カラマツ、モミを各1000株予定しています。
これらの苗木は、およそ2年半前の2016年に播種した苗木です。
来年2019年はマツ、カラマツ、モミ、カンバの計12000本です。
再来年2020年はマツ、カラマツ、モミ、カンバの計15000本です。

植栽

植栽時期

植栽は6月後半から7月にかけて実施します。
実際には6月前半から植栽に適したモンスーンの時期が始まります。
しかし、6月前半は、雇用予定の住民が皆、冬虫夏草の採取で忙しいため、開始時期をずらしています。
冬虫夏草は、ほぼ自給自足で暮らす村人にとって、貴重な収入源です。
サマ村の周りの土地は、冬虫夏草の産地であり、5月後半から6月前半が採取シーズンです。

植栽地

植栽地

今年は3000本苗木を2ヘクタールほどの範囲に植栽予定です。
2020年までの植栽は、村の4カ所が植栽候補地です。
今年の植栽地は、現地視察の際に、住民と相談の上、候補地の一つのTau地域に決定しました。
決定に至った理由は、まず今年植栽予定のマツ、カラマツ、モミが植栽地の土壌に適していること。
また1つの地域に集中させることによって、管理の効率化を狙いします。
2020年までに30000本の苗木を20ヘクタールほどの範囲に植栽予定です。

植栽穴

植栽方法

深さ30cm、直径30cmほどの穴を掘り、苗木を植栽します。

穴の下層には、穴を掘った時に排出した表層土を敷きます。

逆に、表層には穴を掘った時に排出した下層土で覆います。

苗木はポットから外し、植栽します。

ここで苗木の幹が土に被らないよう注意します。

幹が土に被ってしまうと、苗木は腐り、活着率が下がります。

また苗木の周りの土を盛り上がるようにします。こうして、雨などによって表面を流れる水の排水機能を向上させ、活着率を上昇させます。

植栽苗木

試験的な植栽

今年は3000本の植栽以外に、来年以降の植栽候補地で、試験植栽を実施します。

試験植栽の狙いは、リスク管理として、試験的に植栽することによって、樹木の成長具合を把握することです。

3ヶ所の植栽候補地に、マツ、カラマツ、カンバ、モミを植栽予定です。

現地視察に同行いただいた住友林業株式会社の技術者の提案で実施することとなりました。

植栽ワークショップ20180614185338.JPG

ワークショップ

現地視察に同行したアドバイザーのネパール人森林専門家ビヒーム・ラジライが、植栽方法についてのワークショップを2回開催しました。
ワークショップは、計50名の住民が参加し、1時間半ほど開催されました。
ビヒームは、上記に記載した植栽方法を中心に、座学とデモンストレーションによって、住民に伝授。
ワークショプの終わりには、学習チェックを目的とした簡単なテストを開催しました。
ビヒームによると、参加した住民は植栽方法を理解しているとのこと。
また、森林再生プロジェクトに対する住民意識が増えているとのことでした。

ヤク

食害対策

今後の課題

主な課題はヤクによる食害対策です。
家畜は現在、前記したように、村を自由に歩き回れるように放牧されて、村の自然に生えている稚樹を食しています。
こうした食害をストップさせためには、根本的な対策が必要です。
しかし何百といるヤクを急に囲む柵を作ることは莫大な費用がかかり、現実的ではなく、根本的なヤク対策は現場の責任者にとっても、初のチャレンジです。
そのため、日本&ネパールの技術、原始的&最新の技術を組み合わせ、試行錯誤を繰り返しながら有効な対策法を生み出したいと考えています。
まずは即効性の電気柵の使用を検討しています。

集合写真

おわりに

現地視察中に、サマ村の寺院で歓迎式典が開催され、全住民の3割ほどのおよそ300名の住民が参加しました。

式典の際にサマ村の大僧正が住民に諭していた言葉をご紹介します。

「仏教では、植樹することは、とても縁起の良いことです。お釈迦さまは無憂樹の下で生まれ、菩提樹の下で悟りを開き、沙羅双樹のもとで涅槃に入られました。ですから、仏教にとって、樹木は特別なのです。」

サマ村の住民の信仰心は大変厚く、当事業に多大な理解と協力をいただいています。

2015年に事業を開始して3年目で、初の植栽にたどり着きました。

これからは植栽した苗木の管理も始まります。

まずは育苗から植栽後の管理までの正確なルーティンを確立させたいと考えています。

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