沖縄遺骨収集

REPORT【レポート】沖縄での遺骨収集活動

2019年3月15日

【スタッフレポート】
私は大阪のHarley-Davidson専門店「鼓動館」の代表の藤岡誉司(フジオカタカシ)と申します。
野口健さんとは2008年の終戦記念日にNHK「視点・論点」という番組で「先の大戦未だ終わらず」という10分程の番組を偶然に見てから、遺骨収集活動に参加出来るのか?と10月に初めてフィリピン レイテ島へ遺骨収集へ行ってからのお付き合い。もう10年以上何度もフィリピン、沖縄へ遺骨収集活動を一緒に行って来ました。

沖縄遺骨収集活動_藤岡レポート_01

沖縄遺骨収集はいつも糸満市という沖縄南部へ米軍に追い込まれた最終戦地だったが今回の遺骨収集活動の場は浦添市。
1945年4月1日に読谷村より米軍は上陸して日米両軍が激戦を繰り返した地域。
あのメルギブソン監督の映画「ハクソー・リッジ」で有名な前田高地の近くである。
驚いたのは大都会のど真ん中にあるショッピングモールの真裏にそこはあった。
側にはバイパスが出来ていた。

野口健さんとそこのショッピングモールで買い物した時、レジの女性が「あら?野口健さん!何しにこんな所へ?」
「裏で遺骨収集してる」と伝えると
「あぁ~!ダメダメ!そこはダメですよ~!」と顔が引きつっていた。
やはり心霊スポットなのは本当のようです。

ここの壕は戦後74年経過していて土砂が大量に流れ込んでいる。
遺骨収集活動はその土砂を掘り出すこと。

次の日も同じ場所で遺骨収集活動。
ヤラセでは無いので遺骨が出るか?出ないか?
また何処に遺骨があるのか?全く分かりません。
しかも硫黄島、沖縄の遺骨収集活動は「土砂を掘り出す」作業でショベルやツルハシで長年堆積した土砂を掘り出す作業。その土砂から遺骨を探すのです。
しかも今回の壕から掘り出した粘土質を手でもんで遺骨を探す作業。
健さんと剛さんとはじめさんと4人で午前中ずっとその作業をやっていたが、遺骨は見つからず。
ただそこにはもう遺骨が無い。すなわち調査済み! となる。
作業中は全く当たりの来ない釣りをしているようで手応え無し。心折れそうになるが止める訳には行かない。全く遺骨はそこの壕では見つからなかった。
しかしそれで納得している我々でした。

沖縄遺骨収集活動_藤岡レポート_02

国を守る為に命をかけて犠牲になられた日本兵や島民の遺体は、本来なら国が責任を持って回収するべきだと思う。
ただ国が動いてくれるのか?
また国が動いても沖縄県が動くのか?
行政の誰かがやってくれるのか?そこには複雑な沖縄の問題がある。
結局は有志がやるしかない地味な活動。
しかも遺体は長年放置されて白骨化遺体になっているだけで「殺人現場」である事には変わらない。

しかもここはバイパス道路の拡幅工事であと2年で埋められてしまう壕もあると聞いた。
ここの谷の対岸はショッピングモールですでに埋められている。
現在でもバイパス道路で入口が殆ど埋められている壕もあった。

ショッピングモールの中に幽霊が出て心霊スポットと噂されても仕方ないと思う。

一方で鼓動館前でも新たにバイパス道路工事をしている。
そこの田んぼの下から遺跡が見つかり地元教育委員会が徹底的に調査を行って数年工事がストップしていた。遺跡は調査するのに遺骨収集はしない?何故?
調べてみると遺跡が見つかると「文化財保護法」があるので調査しないといけないらしい。

国は沖縄の遺骨収集に責任があるなら、そのような法律も作るべきだと思う。
遺骨収集も調査もせずに埋めてしまうのは私でも許せないと今回の現場で感じた。
「我々は沖縄を守る為に命を掛けたのに、見捨てる?忘れてしまって都市開発で遺体を埋めてしまうのかよ!そんな馬鹿な話があるかよ!」って声が聞こえて来そうだ。

沖縄遺骨収集活動_藤岡レポート_03

大東亜戦争では国内では硫黄島と沖縄だけが日米の激戦地となった。
しかも沖縄では1/3の沖縄県民が犠牲になっている。
東京大空襲も大阪、神戸等の都市の空襲で犠牲になられた方々への補償は一切国はしていない。
戦後、沖縄県のみ激戦地特別手当というのがある。
沖縄が唯一の戦場となり多くの民間人の犠牲者が出たからだ。
なので軍の命令で自決した遺族には 「遺族年金」が支払われる。

昔、那覇のレンタカー屋さんのスタッフのお父さんが航空自衛隊員で子供の頃、歴史の授業は自分だけグランドで遊んでいなさい。と先生に言われてました。ナイチャー(内地の人)にはわからんさ!とよくイジメられました。
と聞いた。

沖縄には様々な深い複雑な歴史と文化がある。
沖縄には沖縄タイムス、琉球新報の二社しか新聞社が無く内地の新聞購読者は極めて少ない。
メディアが報道しない事が昭和から何度も沖縄へ来ると見えてしまう。
沖縄独特の文化がある。内地への思いも複雑。
また政府と沖縄県の溝は深い。 また莫大な予算もかかる。

今迄、手付かずの状態の壕が多くあるのを見て来て遺骨収集が進んでいないが現状。
国吉さん一人が半世紀以上コツコツやっておられたが高齢の為リタイヤされた。
我々も年1、2回程度のボランティアで偉そうに言える立場では無い。

沖縄遺骨収集活動_藤岡レポート_04

そこに現れたヒーロー!西島恵歴くん。エレキくんと呼びます。
前回の遺骨収集から参加してくれて地元で瓦職人さんの会社社長!
毎月社員と共に遺骨収集活動をしてくれています。
こんな彼がいてくれるのは本当に有難い、その日お昼で我々は飛行機で帰るのだが、僕達午後からもやりますから!と笑顔で答えてくれていた。
「またいつも少人数でやるので、ここまで土砂を掘り出してくれたので本当に助かります。今度、内地の学生が150人来てくれるんです。それでかなり進むと思います。」とエレキ君。
なんて頼もしい若者なんだろう!
褒められる事の少ない遺骨収集活動。
死んだ兵士から感謝の言葉は勿論一切聞けない。
でも誰かがやらないといけない活動。本当にありがとう。

ボランティアスタッフ 藤岡誉司

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