エコツアー

REPORT白神山地とマタギを知る山旅

2017年9月13日

9年前の白神のマタギとの出会いは衝撃でした。マタギの一つ一つの所作に、永続的に自然と生きていくための必要な知恵や考えがあり、圧倒されました。この知恵や思いをもっと知りたいと思い、以来、この9年間私は白神山地に通い続けました。そして、もっと多くの人に知ってもらいたいと思いがあり、今回のイベントを企画しました。応募をいただけるか正直不安でしたが、とても嬉しいことに地元の弘前市をはじめ、東京や千葉県からご参加いただきました。

イベント初日は、弘前大学でマタギの研究を専門にされていた牧田先生によるレクチャーからスタート。白神山地の概要やマタギがどのような山野草を使っていたかなど、学者の視点からレクチャーをお願いしました。

午後は、舞台を白神の山に移し山歩き。案内人はマタギ家系に生まれ、幼いころから白神山地とともに生きてきた工藤茂樹さん。2kmほどの道のりを3時間半ほどかけて、白神の森をガイドし、レクチャーで学んだことを実際に見て歩きました。

その後、マタギが山の中で猟をする際にベースキャンプとしていたマタギ小屋に移動しテントを設営。暖や食事をするために焚き火をしました。焚き火ひとつとっても、マタギの自然で生きてきた知恵が詰まっています。例えば火種はウダイカンバの皮を使います。ウダイカンバは適度に油分を含んでいるため、じっくりジワーッと燃えるためです。そして薪は川の字にくべます。そうすることによって、燃焼効率は落ち着き、長く火を使うことができます。

焚き火を囲んでの食事は、茂樹さんが心を込めて作った野菜、天然のしいたけで作った豚汁などを堪能。どれも絶品です。私は茂樹さんの枝豆が好きです。食事後、焚き火を囲んでお話をしていると、激しい雷雨が襲いました。しかし、ブナの葉が雨を受けとめるせいか、安心感があります。

前の晩に落ち着いた雨が翌朝に再び降り出す...スタッフ一同、沢歩きは難しいと思いました。なぜならば、雨による増水が懸念したからです。しかしマタギ小屋からマタギ道を歩き、沢に降りると、通常よりは濁っていましたが、水量は少なかったため、安全第一で、行ける場所まで行くことにしました。弘前大学に通ったことがきっかけで白神山地に魅了され、30年間白神の山に生きてきた小池幸雄さんのガイドのもと、食べ物の宝庫、白神の沢を歩き、サルナシや何種類ものキノコを見つけました。天然ナメコを発見したことは幸運でした。

最後は温泉に入ってゆるりと2日間の旅を思い出しました。今後も私は白神でのイベントを開催したいと考えています。直近では、冬に豆から実際に豆腐をつくり、かんじきで雪の白神山地を歩きたいと思います。また春は山菜と新緑の山歩き、夏は沢歩き、そして秋は紅葉とキノコ採りなど。

古来から人間は自然の恵みをうけて生きてきました。しかし現代に生きる私たちは自然と生きている実感は薄いと思います。白神山地はそういった実感を体感させてくれる場所だと思います。白神山地での旅を通じて、自然と生きることはどういうことか考えるきっかけになっていただければ幸いです。

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