環境学校

REPORT小諸市での「野口健森林教室」への取り組み

2007年10月 1日
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 「世界で最も教育を受けている日本人がなぜ、ゴミを捨てるのか!」とチョモランマで欧州登山家からの一言。日本語で書かれたゴミがチョモランマに散乱していたからだ。確かに日本は欧州と比較すると大学などの進学率は明らかに高い。しかし、ゴミと教育が私にはすぐに結びつかなかったのでその真意を確かめてみたら「私達の国には幼い頃から環境教育を徹底している。当然、日本でもそうでしょう。それなのに何故意識が低いの?」と。
 
 よく「モラル」という言葉が使われるがそのモラルは家庭や学校等での教育が生み出すものだろう。それに私が受けた日本の義務教育の中で果たして環境教育なるものがあっただろうか。例えば水俣病やイタイイタイ病など公害があった事実は教わった。しかし、人間がどのように地球と共存していくべきなのか、当事者となって考えるようなプログラムはなかった。なるほど、いわゆる「環境教育」が日本にがなかったのだと、その外国人登山家の言葉が1つのヒントとなり「コスモ石油エコ基金野口健環境学校」を設立した。

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 この学校は夏休みなどに一般公募で生徒が集まる。つまり最初から環境問題に対して関心がある子ども達が集まる。環境問題は全ての人々に直接関わる問題。このコスモ石油エコ基金野口健環境学校で培ってきた経験を生かし次なる目標は義務教育の中での環境教育の普及となった。

 様々な地方の教育委員会に呼びかけてきたが、私の受けた印象では外部の人が入り込んでくるのを必ずしも好む体質ではないようだった。なかなか話しは進まず、実現しないままズルズルと過ぎていった。そんな時に長野県の小諸市長の芹澤勤氏からご連絡を頂き「小諸市は環境先進自治体を目指している。一緒に活動してほしい」と熱烈なラブコールがあった。

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 ならばと芹澤市長に「小学校の教育プログラムに環境教育を加えて頂きたい」と条件をつけた。その後、芹澤市長は積極的に教育委員会に理解を求めた。まず教育委員会から小諸市の小学校の校長先生が一斉にあつまる校長会議にかけるようにとの指示
があったがそこでも進展なし。次に教頭会議にかけたが同じように進展なし。そこで
小諸市の職員が一校ずつ足を運び直談判。その甲斐あって昨年は6校中4校の小学5年生と間伐体験から森作りを学ぶ「森林プロジェクト・野口健森林再生プロジェクト」がスタートした。その様子が地元メディアに大きく取り上げられ参加しなかった2校の子ども達の親から学校側に「何故、私達の子ども達は参加しないのか」といった声が多く寄せられたとか。そしてついに参加しなかった2校も今年から参加することに。9月下旬、私は小諸市の全ての小学5年生と森の中で活動を行った。地元行政が教育機関に働きかけ環境教育を正式なプログラムに入れたのは全国で小諸市が始めてとのこと。

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 そして市内の中学校からも参加したいとの声が聞こえてきた。うれしい広がりではないか。小諸市を皮切りにして、全国の学校に環境教育の輪を広げていきたい。

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