シェルパ基金

REPORTプルバの分まで精一杯生きたい

2006年11月 9日
 ヒマラヤから戻ってきた登山仲間の谷口ケイさんから悲しい訃報が届いた。この春、ケイさんと一緒にマナスルに登頂したペンバドルジ・シェルパの兄,プルバがプモリ峰で雪崩に巻き込まれ遭難死した。プルバはエベレスト清掃活動などずっと私を支えてくれた大切な仲間。プルバの死に声がでなかった。毎シーズン、ヒマラヤに登る「職業シェルパ」は絶えず危険地帯の最前線で活躍する。その為、毎年のようにシェルパ達が命を落とす。今年に入って私の知っているシェルパ2人が雪崩によって亡くなっていた。どんなに気をつけようが、ヒマラヤの大自然は時に人の予測できる範囲を大きく超える。登山を始めて18年、その年数以上の仲間を山で失ってきた。失った仲間が多ければ多いほど年をとる。老け込んでいくような気がする。
 
 そんな生き方しか出来ないのかもしれないが、しかし、死の世界を身近に感じれば感じるほど逆に生に対する執着心が強くなる。よく「登山家は命を粗末にする」「山で死ねば本望だろう」と批判されるが、それは違う。みな、生きて帰りたいと必死に死の世界と闘っている。山にいる時ほど生きることに精一杯になることはない。いかなる状況に追い込まれようとも最後まで生きて帰ろうと諦めないのが冒険なのかもしれない。生きてさえいればいくらでも可能性がある。逆に死んでしまったら終わりだ。それだけに自らの手で命を絶つ行為を耳にする度に命がもったいないと残念でならない。
 プルバの死に大きな衝撃を受けたが、私達にできる事は事故を繰り返さない努力しかない。プルバ達の分まで精一杯生きていきたい。

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