森をつくろう

NEWSメディア 産経新聞6月12日

2018年6月13日

植栽住友林業

6月12日付の産経新聞にご紹介いただきました。下記リンクから記事を転載しました。

https://www.sankei.com/life/news/180612/lif1806120018-n3.html

登山家・野口健さんら マナスル山麓で植林事業

■3500メートル超で初、土砂災害防止へ

 6月は環境月間。地球レベルでさまざまな環境問題に取り組んできた登山家の野口健さん(44)が、日本と縁が深いヒマラヤ・マナスルの山麓、ネパール・サマ村で、植林活動に取り組んでいる。同国では過度の伐採や山林火災などで毎年2%ずつ森林が減少、土砂崩れの被害も多い。3500メートル超の高地での植林はほとんど例がなく、野口さんは「同村で成功すれば、ネパール全土に広げてゆける」と意気込んでいる。(喜多由浩)

 マナスルは8千メートル超の高峰では唯一、日本隊が初登頂(昭和31年)した山。敗戦から10年あまり、快挙は日本人を勇気づけ、記念切手まで発行された。サマ村はマナスルのベースキャンプから最も近い村で、登山隊のポーターを務める住民も多い。

 野口さんは「日本人として縁が深い山と村に、日本人として貢献したい」としてプロジェクトを立ち上げ、自身が代表理事を務めるNPO法人「ピーク・エイド」が平成22年に、同村の寄宿舎制の小学校に新たな寮を建設した(児童数約50人)。27年からは、同団体と日本の専門家や、過去に同様の事業の経験を持つネパール人スタッフらとともに5年計画で植林活動に取り組んできた。

ネパールは全土の約25%を森林が占めているが、同村では近年、経済発展が著しい、隣接する中国・チベット自治区への建築資材用の輸出が増加したこともあって森林面積が急減。多雨が続くモンスーン期や、3年前のネパール大地震では、保水力を失った森林伐採地などで、土砂崩れの被害が相次いでいた。

 野口さんは、「ネパールでは植林の文化自体がなく、伐採した土地はそのままの形で残されてしまう。村の横には大きな氷河湖があり、もし土手が崩れれば、甚大な被害が出る可能性が高い。それを防ぐためにも早く植林を進めねばならなかった」と話す。

 問題は村が、富士山の標高(3776メートル)に近い高地にあること。協力を求めた日本の林業専門家もこうした高地での植林経験がなく、最初の2年間は慎重に土壌調査や苗木を育て、プロジェクト3年目の今年5月中旬、やっと初の植林作業にこぎ着けた。約10センチに育ったカラマツ、松、モミなどの苗約3千本を夏までに植え、来年以降、総計3万本を植林する計画だ。

 今後、ヤクによる食害防止の電気柵設置などにもコストがかさむと見込まれ、5年間の総予算は1800万円あまりに上る。複数の日本企業の環境基金などを活用し、野口さんや林業の専門家はボランティアで貢献するという。

中・長期的なテーマは、同国内で、同様の植林事業をいかに広げていけるか、だ。日本側の協力には人員、予算とも限界があり、最終的には、同国の住民自身による事業として引き継がねばならない。

野口さんは、「植林の重要性や経済的なメリットについても住民の理解はかなり深まってきたと思う。今後は住民にノウハウを伝え、バトンタッチしてゆく。日本に縁がある地域で、植林文化という日本人が持つ『DNA』を伝えることができれば、こんなにうれしいことはない」と話している。                   

■マナスルとサマ村 

マナスルは、ネパールのヒマラヤ山脈にある標高8163メートル(世界8位)の山。昭和31(1956)年5月、日本隊によって初登頂された。サマ村は、マナスルのベースキャンプに最も近いネパールの村で、同山への登山基地。

【プロフィル】野口健

 のぐち・けん 昭和48年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化問題、戦没者遺骨収集など、幅広いジャンルで活躍している。

Facebookでシェアする

ツイートする

LINEで送る

SUPPORT寄付・入会

PEAK+AIDは、皆さまからの会費、寄付、募金により支えられています。寄付・入会

あなたのお気持ちにあった方法で、ぜひ、ご支援をお願いいたします。

寄付・入会